２０１１年卯月

　外を晴ればれと歩きたい季節です。新緑が日増しにあざやかになって、枝枝が伸びてきて
植物の力に驚かされる季節なのです。我が家の周りでも、軽米のいちいだけではありません。
コゴミを鉢植えにしたものや、ベランダでは、園芸花も咲き、その下からは鈴蘭や朝顔の芽も
伸びてきています。もう四年目でしょうか、非遺伝子組み換えの菜種はしっかり実ってます。
この菜の花が今年の春は、本来のお付き合いとは違うもてはやされ方をしているのも痛ましいです。
非遺伝子組み替えとは言いつつも。稲は昨年の穂から芽を出そうとしています。その小さな田んぼ
には芹の根を入れてあったので、もう一回の汁の実の分にはなっています。
　この季節の喜びが一度に芽生えとなり、新緑の勢いとなっていのちを漲らせているのです。
　それなのに、いろいろな事ためらいがちな四月でした。ベランダの柔らかい葉を見ても、これを
摘んだらどれくらい洗わなければならないのかとか、自転車で出かけたがる連れ合いの後を着いて
いきながら、あまり遠出はして空気にさらされたくない。そんな思いに捉われてしまうのです。
　晴ればれとしたいですね。
義父母にとってはどうなのでしょう。義母は要介護５の認定を受けました。これも震災禍だと義父は言います。
いつもの品揃えがスーパーの棚に無かったので、違う方向に歩いて行こうとして風に煽られたわけです。
骨折、手術、予後、介護になった４月です。
　アースディ、地球という私たちの母星は、人間の浅智恵で、使いこなせない物質も、私たちのはらからと
産みい出したのでしょうか。もともとは、同じ土くれなのでしょうか？問いは答えを見つけられません。
　まだまだ、小さな揺れでも叫びたい思いになります、ただの大地の鳴動だけでない恐れに捉われるからです。
放射能、いいえ、その利用をしている人間の、人間というもの自身が制御できない愚かさを感じてです。
怯え、恐れ人の心と言うのは、容易く壊れていくのです。いつまでも、そこに獲り憑こうというこれまた、
薄汚いものも人の起していることだと考えるからなのです。

　それに較べて、今年も小鳥は巣をつくっています。早朝にさえずりともつかない鳴き声で飛んでいます。
花々もまた、咲いています。昨年の球根からの芽も出てきました。形は揃わないかもしれませんが、
また、夏に向かっての私の楽しみにさせてください。
　季節は巡っていきます。時は過ぎて行きます。文庫番なりに今できる事を考え続けた一カ月でした。
茨城で母のくらしは不必要に外に出ない様にしているようです。洗濯物も布団も室内に干しているようです。
私は義父母の長く干す事の無かった布団を、やっと外に干す事ができるかと、鬼嫁ながらも張り切って
いるのですが、退院した義母はすこぶる嫁を当てにしません。自立志向の人です。それとも単なる言葉に
出して頼むのが苦手なのでしょうか。あまり元気になれる状態ではないと思うのですが、いざってでも、
自分で動いています。こういう人達を考えると、多少の片寄った報道の言うとおりにはしなくても良いと
思うのです。それぞれに頼られることは無い？娘であり嫁なのです。
　さあ、それならば、また、いろいろなところに出かける事にしましょう。


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