２０１７年如月

　　
　髪を数年ぶりに短くしました。さすがにいろいろな思いがあり変化があり。
三つ編みお下げには戻らないにしても、これからをどう生きるか。
日除けの帽子を被って庭に出ては、その前髪はぺしゃんこになるのですけれど、襟元には春の風が、そよと吹いた気がします。
　月はじめには、まだ爪先も踝も深く深く、霜柱の裡に埋もって、霜焼けの痛痒さ。この冬は例年よりも寒い冬でした。
その庭は、昔は川原と聞いています。ハザードマップでは大丈夫。
いろいろな心配もあるけれど、これからの我が家として住んでいかなければ。
　立春過ぎれば、その庭も、さまざまな芽生えを見せてくれます。
蕗の薹が出る場所にも見当がつくようになりました。クロッカスは早咲きで、ヒヤシンスも蕾があって、水仙は新顔に入れ替わって。
　一年が巡ると言う事、天体としての宇宙の中の不思議に合わせて、植物も生き物も、時間を刻んでいきます。
　私はこの移りゆく時の流れにどのようにことばを研いでいたのでしょう。
思索を積み重ねていたのでしょうか。惰性に任せて喪を過ごした五年ではなかったのか。
そよと吹いた風に、頭を振って、明るくなった空に浮かぶ雲を見るのです。
格子の入った窓から兄も見ているのでしょうか。もう、音信してくれるなとなるのか。
ただ、この空は彼の地にも続いています。
山の中にも春が来るのです。私は、宇宙の時の刻みに歴史を委ねていければと考えました。
　寒く、厳しい冬は、過ぎていくのです。

　　　　　　

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